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研究内容

 

​三橋研では、遺伝子工学を用いてヒトの遺伝性疾患の研究をおこなっています。特に、筋ジストロフィーと呼ばれる、筋肉が弱っていく難病の理解と治療を目指した研究に取り組んでいます。



The Mitsuhashi lab studies human genetic disorders using genetic engineering. In particular, we focus on muscle diseases such as muscular dystrophies and myopathies, aiming at understanding and treatment of the diseases. 

  • 遺伝性疾患とは

 遺伝子は生命の設計図とも呼ばれており、人は約22000個の遺伝子を持っています。遺伝子に異常が生じると病気を起こすことがあり、遺伝性疾患と呼びます。遺伝子はDNAからできており、DNAはA, T, G, Cの4種類の塩基を持つヌクレオチドが長くつながった生体高分子です。この塩基の並び(塩基配列)が生物の遺伝情報となっています。遺伝子の塩基配列は基本的にタンパク質に翻訳されて機能を発揮するため、塩基配列が欠けたり、違う塩基に置き変わったりすると、タンパク質が作られなくなったり、異常なタンパク質が作られたりします。こうしたタンパク質の欠損や異常タンパク質の産生により、様々な病気が起こることが知られています。遺伝性疾患はその多くが難病であり、発症のメカニズムの理解や診断法、治療法の開発のために生命化学の知識や技術にもとづいた基礎研究が必要とされています。

News &

​Topics

​2021年4月

​FSHDに関する論文をHuman Molecular Genetics誌に発表しました。

 

2021年6月

FSHDに関する論文がプレスリリースされました。

 

​2020年9月

​ERVに関する共同研究がMobile DNA誌に掲載されました。

 
 
  • 筋ジストロフィーに挑む

 

 筋ジストロフィーは筋肉がしだいにやせ衰え、力が出せなくなる病気で、遺伝性疾患の1つです。子供のころから発症するもの、大人になってから発症するものなど、様々なタイプの筋ジストロフィーが知られています。筋ジストロフィーは原因不明の難病でしたが、その原因を明らかにしたのは、生命科学者による研究でした。1986年にアメリカの科学者Kunkel博士が30億塩基対もある人のゲノムDNAの中から筋ジストロフィーの原因遺伝子を発見し、ジストロフィンと名付けました。ジストロフィンは筋細胞の生存に重要な遺伝子であり、この遺伝子に欠損が生じると筋ジストロフィーになることがわかりました。この研究を発端に、その後、多くの科学者の研究により、現在では50を越える筋ジストロフィーの原因遺伝子が見つかっています。かつては原因すらわからなかった筋ジストロフィーですが、現代では発症機序にもとづいた治療法の開発が研究される段階になっています。

 
  • ​ゼブラフィッシュの遺伝子工学



 バイオテクノロジーの発達により、現代ではDNAを切ったり、つなげたりすることが可能となっています。DNAはすべての生物が共通にもつ遺伝物質であるため、例えばネズミのDNAとクラゲのDNAをつないで新しい"融合した"遺伝子を作ることも可能です。このようにDNAを人工的に操作する技術を遺伝子工学と呼びます。当研究室では、ゼブラフィッシュという熱帯魚に遺伝子工学の手法を応用し、筋ジストロフィーをはじめとした遺伝性疾患の研究をおこなっています。ゼブラフィッシュの受精卵に微細な針を用いて病気の原因となるDNA(疾患の原因遺伝子)を注入することにより、人間と同様の症状を示すゼブラフィッシュを作製し、遺伝子がどのようにはたらいて病気を引き起こすのか、どうすれば症状を治療することができるのかを調べています。

 
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